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2026.10.18経営戦略資金調達借金

越境EC経営者が語る、企業成長に「借金」は必要か?【荒木淳平コラム】

JP.Company代表の荒木淳平が、企業成長における借金の役割を解説。創業期の資金調達から事業のスケールアップ、黒字倒産回避まで、自身の経験を交えて語ります。

CHAPTERS

  • 00:00【挑戦かリスクか】企業が成長するために借金はするべき?

企業を成長させる上で、借金は避けるべきもの、というイメージを持っている方も少なくないかもしれません。僕自身も、創業当初は無借金経営への憧れがありました。しかし、実際に会社を立ち上げて経営を続けてきた中で、企業が成長し、長く存続していくためには、戦略的な借入が不可欠だと考えるようになりました。

創業期に借金すべき理由とは?

僕が会社を立ち上げたのは、自己資金300万円からでした。この300万円を貯めるまでが本当に大変で、サラリーマン時代に3年ほどかけて必死に貯めたお金です。その苦労があったからこそ、会社を始めた当初は「このお金を減らしたくない」という思いが強かったんですね。

でも、事業を進める上で、初期投資が必要になったり、材料費や人件費、家賃といった固定費がかかってきます。300万円という資金では、あっという間に底が見えてしまう。売上がなかなか立たない状況が続けば、数ヶ月で資金が尽きてしまうことが最初から分かってしまうわけです。そんな状況で、心のゆとりを持ってビジネスに集中するのは難しい。

そこで僕は、日本政策金融公庫(政府系金融機関で、中小企業や創業期の企業への融資を支援)から1,000万円を借り入れました。結果的に、自己資金300万円と合わせて1,300万円からスタートできたことで、資金的な余裕が生まれ、事業を継続する期間を延ばすことができたんです。これはまさに「延命」であり、成功へのチャンスを増やすことにも繋がりました。

「時間を金で買う」という発想

また、借入金は事業をスピードアップさせるための投資でもあります。例えば、一人でやれば3ヶ月かかる作業も、人を一人雇うことで1ヶ月半に短縮できるかもしれませんよね。それによって、収益化までの時間を早められる可能性もあるわけです。経営においては、この「時間を金で買う」という感覚が非常に重要になってきます。

結局のところ、お金は「お金を使ってお金を増やす」ためにあると僕は考えています。事業の規模が大きければ大きいほど、成功する確率も高まりますし、チャレンジできる回数も増える。そのためには、やはりある程度の資金力が必要なんです。もちろん、100億円持っているような人は借金する必要はないかもしれませんが、多くの起業家にとって、戦略的な借入は事業をスケールアップさせるための有効な手段だと言えるでしょう。

経営・チーム経営・チーム

会社の「長続き」を叶える借入の力

僕が会社の経営で最も大切にしていることの一つは、「会社を長続きさせること」です。会社が長く存続するためには、様々なリスクに対応できる強さが必要です。

例えば、予期せぬ災害や経済状況の変化でビジネスモデルが通用しなくなるケースもあります。また、少人数で会社を運営している場合、経営者自身が病気などで倒れてしまうリスクも考えられます。そうした時に、会社の規模が小さすぎると、リスクヘッジができず、あっという間に「ゲームセット」になってしまう可能性が高いんです。資金的な余裕があれば、困難な状況でも延命措置を講じることができ、回復への道を探る時間を得られます。

黒字倒産を防ぐキャッシュフローの確保

もう一つ、借入が会社の寿命を延ばす上で重要なのが「キャッシュフローの安定」です。特にBtoBビジネスなどでは、売上が計上されていても、入金が数ヶ月先になる「売掛金」が発生することがよくあります。経理上は利益が出ている「黒字」なのに、手元に現金がないために支払いができなくなり倒産してしまう「黒字倒産」という状況も起こり得るんです。

これを防ぐためには、常に手元に十分な資金、つまりキャッシュ(現金)を持っておくことが不可欠です。借入によって資金に余裕を持たせることで、入金サイトの長い取引にも対応できるようになり、安定した経営を続けられます。ライフゲージが満タンであれば、すぐにゲームオーバーになることはありません。借入は、そのライフゲージを満タンにするための有効な手段だと考えています。

経営者の視点経営者の視点

借入を「成功」に繋げる経営者のマインドセット

では、借入を成功に繋げられる経営者と、そうでない経営者の違いは何でしょうか。一番やってはいけないのは、借り入れたお金を「自分のもの」と錯覚してしまうことです。僕の父が会社を倒産させた時、借金を自分の遊興費に使ってしまっていたのを見ていたので、僕は絶対にそうはしないと心に決めていました。

「返す」意識と事業計画の確からしさ

借りたお金は必ず返すものだという強い意識を持つことが大前提です。そして、借り入れの金利以上に事業で利益を上げられるか、という視点も重要になります。例えば、銀行からの一般的な借入金利が1〜3%だとすれば、事業の利益率がそれ以上であれば、お金は回っていきます。

また、借入ができるということは、貸す側の金融機関が「この事業計画なら返済可能だ」と判断したということです。これは、第三者から事業の確からしさをお墨付きをもらった、と捉えることもできます。もし融資を断られたら、それは事業計画に何らかの問題がある、と客観的に見つめ直す良い機会にもなるでしょう。

業種によって異なる借入リスクの考え方

借入のリスクは、業種によって大きく異なります。特に注意が必要なのは、在庫を多く抱えるビジネスです。

在庫は経理上「資産」として計上されますが、それが本当に現金と同等の価値を持つかは別問題です。例えば、アパレル業界の新品衣料品などは、売れ残れば価値が大幅に下落し、最悪の場合、廃棄せざるを得ません。食品なども賞味期限があり、腐ってしまえば資産価値はゼロになります。このような「在庫リスク」が高い業種では、借入金で大量の在庫を抱えることは非常に危険です。

一方、僕が携わる中古ブランド品のリユース業界では、商品の価値が比較的安定しており、急激に下がることは少ない傾向にあります。そのため、在庫を持つことのリスクは、新品アパレルなどに比べれば低いと言えます。しかし、どんな業種であっても、借り入れたお金を無駄なく、そして効果的に「増やす」ことに使うというマインドセットが、経営者には求められるのだと思います。

まとめ

企業を成長させるためには、借金は「あり」だと僕は強く主張します。それは、事業のスケールアップとスピードアップを可能にし、さらには会社を長く存続させるための延命措置となり得るからです。もちろん、借りたお金は必ず返すという責任感を持ち、事業計画とキャッシュフローをしっかり管理することが大前提です。借入を戦略的に活用し、健全な成長を目指していくことが、現代の経営には求められているのではないでしょうか。

FAQ

Q.企業が借金すべきだと考える理由は何ですか?
創業期の資金不足を補い、事業を継続させる「延命」効果、人員増強などで事業を加速させる「スピードアップ」、そして事業規模を拡大し成功確率を高めるためです。
Q.借金が会社の寿命を延ばすとはどういう意味ですか?
予期せぬトラブルや経済変動に備えるリスクヘッジになり、手元に資金を確保することで黒字倒産を防ぎ、会社が困難な状況でも存続できる期間を長くする効果があります。
Q.「時間を金で買う」とは具体的にどういうことですか?
借入金を使って人を雇ったり設備投資をしたりすることで、本来かかる時間を短縮し、より早く収益化や事業目標達成を目指す経営戦略のことです。
Q.借金をしてはいけない経営者の特徴はありますか?
借り入れたお金を自分のものと錯覚し、事業ではなく私的な遊興費などに使い込んでしまうタイプは、借金すべきではありません。返済意識が低い人も危険です。
Q.日本政策金融公庫とはどのような機関ですか?
国の政策に基づいて、中小企業や創業期の企業、農林漁業者などに対して融資を行う政府系金融機関です。創業資金の融資を受けやすい特徴があります。
Q.在庫リスクの高い業種とはどのようなものですか?
新品アパレルや食品のように、時間が経つと価値が大きく下落したり、廃棄せざるを得なくなったりする商品を扱う業種は、在庫リスクが高いと言えます。
Q.「黒字倒産」とは何ですか?
会計上は利益が出ていて黒字であるにもかかわらず、手元の現金が不足し、支払いができなくなることで倒産してしまう状態を指します。キャッシュフローの悪化が原因です。

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