越境EC経営者が語る:アメリカ関税が消費者とビジネスにもたらす変化
越境EC・ラグジュアリーリユース業界の荒木淳平が、アメリカの関税が消費者の購買行動と越境ECビジネスに与える影響、サプライチェーンの変化、そして今後の展望を解説します。
CHAPTERS
- 00:00章タイトル
- 00:007割が影響実感
- 00:00関税の数値だけの話ではない
- 00:00安くていいものを買いたい
アメリカの消費者の約70%が、関税が買い物の仕方に影響していると感じているという調査結果があります。これは単なる数値だけの話ではなく、インフレと相まって、消費行動やサプライチェーン、そして私たち越境EC事業者にも大きな変化をもたらしているんです。
アメリカ消費者の7割が関税の影響を実感している理由
実際に、あるアンケートではアメリカの消費者の70%が「関税が買い物に影響している」と回答しています。元々インフレが進んでいたところに、関税による値上げが加わったことで、どの部分が関税によるものか分かりづらい部分もあるとは思うんですけど、少なからず影響は出ているはずです。
面白いのは、関税に対する意識の変化です。2025年には34%だった関税の支持率が、今年に入って46%に上昇しているというデータがあります。僕はこの数字を、単純に「関税を支持している」と捉えるのは違うと思っています。国民が損をする政策を容認するわけがないですからね。おそらく、「関税は仕方がない」という、ある種の諦めや受容の表れではないかと感じています。
仮に日本で、僕たちの生活に直結する食べ物や飲み物に関税が大幅にかかって値段が上がったら、どう思うでしょう? 嫌じゃないですか。消費者側からすれば、いいことなんてないはずだと僕は思うんですよね。
EC・オンライン物販
DDPとDDU、そして「見えないコスト」が消費行動を変える
越境ECの世界では、DDP(Delivered Duty Paid:関税・輸入消費税込み価格)とDDU(Delivered Duty Unpaid:関税・輸入消費税抜き価格)という概念があります。例えばeBayではDDP化が進んでいますけど、これって関税の数値だけの話じゃないんですよ。実際には関税以外の「手数料」などもかかっていて、単純な関税率15%に加えて、さらに5%くらい上がっている気がするんです。合計すると20%くらい価格が上がっている感覚ですね。
この「見えないコスト」が、消費者の意識にどう影響するかは重要です。消費者からすれば、価格が上がった原因が関税なのか、手数料なのか、インフレなのか、判別しにくい。結果として「なんだか分からないお金は払いたくない」という感情につながるんだと思います。
うちの会社でも、eBayで販売する際に送料に関税分を上乗せして販売していたことがありました。すると、お客さんから「なんでそんなに送料が高いんだ?」とクレームが来るんです。僕たちからすれば関税分を乗せていると説明したいんですけど、彼らからすると「何じゃそりゃ」って話になる。明確に「関税:30ドル、送料:20ドル」と分けて表示してくれれば文句も言われないと思うんですけど、eBayのシステム上、それが難しいんです。システム変更は大したことないはずなのに、やらないのは、おそらく感情論なんだろうな、と僕は見ています。
国際物流・貿易
アメリカ一辺倒のリスクとサプライチェーンの変化
世界は確実に変わってきています。アメリカが経済的な覇権を握っているのは間違いないし、うちの会社もアメリカ中心でビジネスを動かしているのは事実です。それは今後も変わらないとは思うんですけど、ただ「アメリカだけに頼っていたら危ない」という感覚が、ここ数年で一番強まっていますね。
1年前は「アメリカ=まとも」という意識が強かったかもしれません。でも今は「アメリカ=何をするか分からない」という不信感が生まれていて、それが会社も個人もリスクヘッジに走らせているんです。みんなアメリカだけでなく、他の国にも目を向け始めているんですよ。
そうなると、各国同士がタッグを組み始める動きも加速するでしょう。今まで優先的にアメリカに商品を回していたところが、同じ値段だったら他の国で売った方がいい、という判断になる可能性も出てきます。そうなれば、アメリカへの在庫が減り、需要と供給のバランスを考えると価格は間違いなく上がるはずです。結果として、今のインフレはさらに加速していくんじゃないかと僕は考えています。今の状況は、関税の数値だけの話ではない。その先のサプライチェーンや国際関係の変化まで見据える必要があるんです。
「国産志向」と「品質・価格」への回帰
アメリカでは「国産志向」が強まっているのも事実です。アンケートでは57.5%の人が「アメリカ製品を意識して購入した」と回答しています。これは食品など、元々国産志向が強い分野も含めての話だと思うんですけど、可処分所得(自由に使えるお金)が減っている現状では、やっぱりマインドよりも「価格」が重要になってくるはずです。
僕たちの感覚で例えるなら、日本で同じ価格でアメリカ牛と国産牛が並んでいたら、品質が良いと思うから国産を選ぶ人が多いでしょう。結局、消費者の購買決定を左右するのは「品質」と「価格」なんです。だとすれば、インフレが進み、可処分所得がさらに減る状況では、関税はより大きな問題になってくると思います。安くて良いものを買いたいと思うのは当たり前の心理ですから、どこかで「この関税率は嫌だな」という声が大きくなるかもしれません。特に、食べ物や飲み物といった生活必需品ではその傾向が顕著になるでしょう。実際、アメリカでも食品に対する関税はかからなくなってきているものもあるようですし、この動きは今後広がっていくんじゃないかと見ています。
不透明な未来と越境EC事業者が取るべき戦略
トランプ元大統領が関税を交渉材料に投資を引き出そうとした動きは、短期的にはアメリカにとって利益になったかもしれませんが、長期的に見ると、他国のマインドを変えてしまったという側面もあると僕は考えています。その結果がアメリカにとって本当に得だったのかどうかは、数年経ってみないと分からないでしょう。
不透明感が続く限り、「アメリカ不信」は拭えないと思います。私たち越境EC事業者は、この変化の波をどう乗り越えるか、常に考えていかなければなりません。特に、関税のような「よく分からないお金」は、消費者にとって最も不満の種になりやすい。eBayのようなプラットフォームには、関税表示の明確化を強く求めたいですね。システム変更は技術的に難しいことではないはずなので、消費者と販売者の双方にとって分かりやすい形に改善してほしいと、僕はずっと思っています。
これからも状況は刻一刻と変化していくでしょう。最新の情報を追いかけ、柔軟に対応していくことが、越境ECビジネスを成長させる上で不可欠だと考えています。
FAQ
Q.アメリカの消費者は関税の影響をどのくらい感じていますか?
Q.関税に対するアメリカ国民の意識は変化していますか?
Q.越境ECにおけるDDPとDDUとは何ですか?
Q.関税以外に、商品価格に影響する「見えないコスト」とは何ですか?
Q.アメリカ一辺倒のビジネスモデルにはどんなリスクがありますか?
Q.アメリカで「国産志向」が高まっているのはなぜですか?
Q.越境EC事業者が今後取るべき戦略は何ですか?
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