AIが買い物を代行? エージェンティック・コマースが変える未来のECとビジネスの戦い方
AIが人の代わりに買い物をする「エージェンティック・コマース」は、ECの未来をどう変えるのか? 現役経営者・荒木淳平がその可能性と課題を語ります。
CHAPTERS
- 00:00エージェンティック・コマースとは?
- 01:20AIは「店員」の代わりになる
- 02:45GoogleとAmazonのAI戦略
- 04:10人間の「自分で選びたい」欲求
- 05:30売る側に求められる変化
- 07:00今後の展望と覇権争い
最近、「エージェンティック・コマース(Agentic Commerce)」という言葉を耳にする機会が増えました。これは簡単に言えば、AIが人の代わりに買い物をしてくれるEコマースの新しい形を指すんですよ。
今までのECでの買い物って、Amazonとかで自分で検索したり、どこかのサイトで買えばいいか分からない物を買う時はGoogleで調べて、そのサイトに行って買うのが一般的でしたよね。でも、その「ググる」という体験が、今もうだいぶ減ってきてるじゃないですか。ChatGPTやGeminiのようなAIに聞いて、おすすめされたサイトで買うパターンが増えてきていると思うんです。
エージェンティック・コマースはその発展版で、AIがおすすめするサイトに行くだけでなく、GeminiやChatGPTの「中で」買い物が完結するような世界がくると言われているんです。今回は、このエージェンティック・コマースが何で、今何が起きているのかについて、僕なりの見解をお話ししていこうと思います。
エージェンティック・コマースとは何か? AIが変える未来の買い物体験
エージェンティック・コマースをシンプルに説明すると、AIが人の代わりに買い物のプロセスを全部やってくれる、そんな世界観なんですよね。どこまで実現できるかは未知数ですけど、例えば日常的に買うようなAmazonで買うような消耗品をAIに任せるかというと、それはあまりないんじゃないかなと思うんです。
僕が思うに、エージェンティック・コマースが本領を発揮するのは、普段あまり買わないような、だけど特定のリクエストがある商品なんじゃないかと考えています。AIが何の代わりをするかというと、これはもう「店員さん」の代わりだと思うんですよ。ECの中だけでなく、実は店舗でのエージェンティック・コマースの方が相性がいいんじゃないかな、と個人的には感じています。
たとえば、お店に入って自分のスマホでQRコードをピッて読み込んだら、AIがナビゲートモードになって、自分におすすめの商品を紹介してくれる。あるいは、未来にはサングラス型デバイスをかけたら、見た商品の価格がその場で表示されるとか、ロボットが一緒に付いてきて案内してくれるとか、色々な形が考えられますよね。最終的な体験がどうなるかはまだ想像しきれないですけど、そういったパーソナルな接客体験をAIが提供するようになるんじゃないかなって思います。
経営・チーム
GoogleとAmazon、AIコマースの覇権争いとその課題
Eコマースの中でのエージェンティック・コマース、つまりオンラインでのAI活用について考えると、今AI系の覇権をどこが取るか、まだ見えていないですよね。現時点ではGeminiのようなGoogle系のAIが強くなってきているじゃないですか。元々Googleは検索エンジンで強いので、Eコマースにも力を入れてくるだろうなと思っています。
今までGoogleのEコマースって、正直弱かったと思うんです。検索で商品は出てくるけど、そこで直接買わないですよね。なぜかというと、Googleがすすめてくる商品に対して、本当に自分が買いたいものなのか、お得なのかという不信感があったからじゃないでしょうか。だから、検索結果に出てくる商品リンクを見もしない、という人も多かったと思うんですよ。
ただ、今後AIの精度が上がってくれば、もう少し市民権を得る可能性はあると思います。一方で、AmazonはAmazonで独自の戦略を考えているはずです。ChatGPTやGeminiのような汎用AIには、Amazonの情報が薄い、というかシャットアウトしているように見えるんですよね。これは、Amazonが自社の覇権を崩されたくないからだと僕は見ています。もしAmazon以外の選択肢と比較されることを許してしまえば、Amazonの優位性が揺らぐことになる。だから、彼らはそれを許さない代わりに、自分たちでもAI開発を進めているんだろうな、と。
ただ、正直なところ、Amazonが持つAWS(Amazon Web Services)のような優秀なインフラがあるにも関わらず、AI分野ではまだ本領を発揮しきれていないように感じます。例えば、Alexaが最近「バカになっている」とよく聞きますよね。Alexa2を出すために、一時的に機能を絞っているのかもしれませんが、ユーザー体験としてはかなり厳しい状況です。彼らがそこに自信がないのか、あるいは別の戦略があるのか、僕としては様子を見ているところです。
EC・オンライン物販
人間がAIに「買い物」を任せられない根本的な理由
僕がエージェンティック・コマースの普及において、最も大きな壁だと感じているのは、人間の根源的な欲求なんです。結局、人間って「自分で探して、自分で決めたい」という気持ちが強いと思うんですよね。AIが最終的な答えを全部出してくれたとしても、どこかで「本当にこれでいいのか?」と疑ってしまうんじゃないでしょうか。
AIが質問を投げかけてくれて、それに僕たちが答えていくような対話形式であればまだ良いと思うんです。でも、AIがただ答えだけを言うというのは、ちょっと違う気がします。なぜなら、そこには「過程を楽しむ」という要素がすっぽり抜け落ちてしまうから。買い物って、商品を比較検討したり、悩んだりする過程そのものが楽しみの一つなんですよね。いつも買うような日常品は別として、少し高価なものや、こだわりの品を選ぶ時は特にそうだと思います。
だから、エージェンティック・コマースが最終的に目指すべき形態は、答えを全部出すことではなく、その「過程」をいかに魅力的に見せていくか、ここが重要になるんじゃないかと思っています。そうでなければ、買い物自体の楽しみがなくなってしまう。これは、僕たちがEC事業をやっていて、常に大切にしている部分でもあります。
未来のECで「売る側」に求められる変化とは?
もしエージェンティック・コマースが本格的に普及し、AI経由での購入が主流になった場合、僕たち「売る側」も、これまでとは違うアプローチを考える必要があります。今まではSEO(検索エンジン最適化)やキーワード戦略が重要で、いかに多くの情報を掲載するかが問われていましたよね。
でもAIはもっと賢いから、単なる情報の量だけを見ているわけじゃないと思うんです。これからは「情報の質」がより一層大事になってくるんじゃないでしょうか。小手先のSEO対策や、無理やり情報を詰め込むような「ずるいやり方」は通用しにくくなるはずです。
AIは、その人が本当に知りたいことを引き出せるか、その商品の個性をいかに正確に伝えられるか、という点を重視するようになると思います。つまり、パーソナライズされた情報提供が鍵になる。ユーザーがAIに与えてきた情報や検索履歴を分析して、その人が本当に求めている情報と、提供する商品情報がいかにマッチするか。曖昧な情報ではなく、ふわっとしない、具体的な情報をきちんと提供していくことが求められるでしょう。
さらに、ちょっとマニアックな話になりますけど、サーバーの物理的な場所も重要になってくるかもしれません。AIだって結局はサーバーがあって情報を掴みにいくわけですから、物理的な距離が情報の取得スピードに影響する可能性もありますよね。例えば、中国のAIを使うなら、アメリカのサーバーよりも中国に近い場所のサーバーの方が有利、みたいなことも出てくるかもしれません。これはまだ仮説の段階ですけど、そういった細かな要素が今後、より重要になってくる可能性もゼロではないと思っています。
今後の展望:AIとECの未来を見守る
エージェンティック・コマースが今後どれだけ発達し、主流になるかはまだ未知数です。ただ、もし発達していくのであれば、情報の「質」と「正確性」、そして「パーソナライズ」がより一層大切になってくるだろうな、というのが僕の現時点での見立てです。もちろん、一番大切なのは「いい商品を作ること」という本質は変わりません。
個人的には、もしChatGPTとAmazonが手を組むようなことになれば、それはもうかなりのインパクトがあるだろうな、と見ています。そうなるとGoogleのGeminiにとってはかなり厳しい戦いになるかもしれません。ChatGPTがどこかのECプラットフォームと組む可能性は十分にあると思うので、日本なら楽天と組むとか、国によって様々な提携が生まれてくるかもしれませんよね。
そういった意味でも、エージェンティック・コマースの動向は、僕たちEC事業者にとって非常に注目すべき分野です。今はまだ「様子見」の段階かな、と感じていますが、今後の動きは常にウォッチしていきたいと思っています。
FAQ (よくある質問)
Q: エージェンティック・コマースとは具体的にどのようなものですか?
A: AIが人の代わりに、商品の検索から比較、購入までの一連の買い物プロセスを代行してくれる新しいEコマースの形です。ユーザーはAIに要望を伝えるだけで、最適な商品を見つけて購入できます。
Q: なぜ日常的に買うような商品では普及しにくいと考えられますか?
A: 日常品は価格やブランドが決まっていることが多く、AIに任せるメリットが少ないためです。エージェンティック・コマースは、普段買わないような、より複雑な選択を必要とする商品で真価を発揮すると考えられます。
Q: Amazonはなぜ汎用AIに情報を開示したがらないのでしょうか?
A: Amazonが自社のプラットフォームの優位性を保つためだと考えられます。情報を開示すれば、AIがAmazon以外の選択肢と比較検討するようになり、Amazonの市場での覇権が揺らぐ可能性があるからです。
Q: エージェンティック・コマースの普及にはどのくらい時間がかかりますか?
A: 現時点ではまだ技術的・文化的課題が多く、本格的な普及には最低でも2〜3年はかかると僕は見ています。人間の「自分で選びたい」という欲求とのバランスも重要です。
Q: エージェンティック・コマース時代に「売る側」は何をすべきですか?
A: これからは情報の「質」と「正確性」がより重要になります。小手先のSEOではなく、商品の個性を具体的に伝え、ユーザーのニーズにパーソナライズされた情報提供を心がけるべきでしょう。
Q: AIが買い物の楽しみを奪ってしまう可能性はありますか?
A: AIが最終的な答えだけを提示する形だと、商品を比較検討する「過程」が失われ、買い物の楽しみが減る可能性はあります。AIが過程を魅力的に見せるような工夫が求められるでしょう。
Q: ChatGPTやGeminiがECの覇権を握る可能性はありますか?
A: それらのAIがどこかのECプラットフォームと提携する可能性は十分にあります。特にChatGPTとAmazonが組むようなことがあれば、EC業界全体に大きな変化をもたらす可能性はあると思いますね。
FAQ
Q.エージェンティック・コマースとは具体的にどのようなものですか?
Q.なぜ日常的に買うような商品では普及しにくいと考えられますか?
Q.Amazonはなぜ汎用AIに情報を開示したがらないのでしょうか?
Q.エージェンティック・コマースの普及にはどのくらい時間がかかりますか?
Q.エージェンティック・コマース時代に「売る側」は何をすべきですか?
Q.AIが買い物の楽しみを奪ってしまう可能性はありますか?
Q.ChatGPTやGeminiがECの覇権を握る可能性はありますか?
関連クエリ:
