中国ECの「本格課税時代」へ。越境EC事業者が今、知るべき新税制の全貌とサバイバル戦略
中国EC市場で本格的な課税強化が始まりました。越境EC事業者はどう対応すべきか。JP.Company代表の荒木淳平が、新税制の背景と海外セラーへの影響、そして今後のサバイバル戦略を解説します。
CHAPTERS
- 00:00オープニングトーク
- 00:00何が起きているのか?
- 00:00なぜ今、課税を強化しているのか?
- 00:00EC事業者にはどんな影響が出ている?
- 00:00海外セラーへの影響は?
- 00:00日本・eBayセラーへの示唆
- 00:00エンディング
最近、「中国ECが危ない」という話をよく耳にするようになりました。実際、何が起きているのかというと、中国でEC事業者への“本格課税”が始まったんですよね。これは単に新しい法律ができたというよりは、これまであった法律を「本気で取りに来た」フェーズに入った、と捉えるのが正しいと思います。
中国EC、本格課税の時代へ。何が起きているのか?
一言で言うと、中国ではEC事業者の売上と税金が、完全に紐づけられ始めた、ということなんです。中国政府がEC事業者向けの税務規制の運用を本格化させていて、ECプラットフォームに対して、売上や注文数、利益などのデータ提出を義務付けているんですね。実際に、すでに7,000以上のプラットフォームが税務当局へ報告を始めていて、EC関連の税収は前年比でプラス12.7%も増加しているというデータもあります。法律自体は以前から存在していたんですけど、今回、それが「実際に徴収する運用」へとシフトしたのが大きなポイントなんです。
なぜ今、中国はEC課税を強化しているのか?
どうして“今”なのか、ってよく聞かれるんですけど、理由はシンプルで、中国政府がお金を必要としているから、というのが僕の認識ですね。ご存じの通り、中国経済は不動産不況、輸出減速、内需低迷といった課題を抱えていて、これによって税収が不足している状況があります。特に、地方政府はこれまで土地売却に依存してきた財政モデルが限界を迎えていて、新たな財源を求めているんです。その中で、巨大化してきたEC市場はこれまで税務管理が比較的甘かった領域で、まさに「取れるところから確実に取る」というフェーズに移行した、ということだと思います。
EC事業者への影響は?薄利多売モデルが直撃する理由
実際、中国国内のECセラー側はどんな影響を受けているのかというと、正直、利益が薄いビジネスほど直撃している、というのが現場の感覚ですね。例えば、利益率が10%前後しかないビジネスモデルだと、そこにVAT(付加価値税)が13%かかってくると、もう利益がほぼ消えてしまうケースも出てくるんですよ。特に影響が大きいのは、薄利多売モデルのセラーや、価格競争で勝負してきたセラー、そして越境EC輸出セラーですね。彼らは価格転嫁をするか、ビジネス構造そのものを見直すことが避けられない状況になっています。「安さだけで勝つモデル」は、もう成立しにくくなった、というのが僕の率直な感想です。
海外セラーに迫る影響と、明暗を分ける「やり方」
日本から中国に商品を売っているセラーさんも、当然ながら影響はあります。特に、どういう“やり方”で売っているかによって、明暗が分かれているのが現状です。
正規の越境ECルートを使っている場合は、影響は比較的「中程度」だと感じています。コンプライアンスコストは増えるかもしれませんが、元々税金を払う前提でビジネスをしているので、大きな打撃にはなりにくいでしょう。一方で、中国国内に法人や在庫を持って運営している場合は、税務調査や追徴課税のリスクがかなり高くなっています。そして、最も影響が大きいのが、代購(購入代行)やハンドキャリーに依存していたビジネスです。これらのグレーなルートは、今回の課税強化でほぼ消滅レベルで影響を受けています。グレー物流やアンダーバリュー(過少申告)も、危険度が急上昇していると言っていいでしょう。
日本の越境ECセラーに忍び寄る「世界標準」の影
この中国の動き、実は日本のeBayセラーにも無関係じゃないんですよ。なぜかというと、世界的に「デ・ミニミス」(少額免税制度)の見直しやVAT/消費税の強化、そしてプラットフォーム経由での税務管理が同時進行しているからです。数年前からアメリカやヨーロッパでも同様の動きが加速していて、僕らが運営するeBayのビジネスでも、その変化を肌で感じています。プラットフォームが売上データを持つことで、税務当局がそこを介して徴税を強化していく流れは、もう止められないんですよ。
将来的に、日本発の越境ECも「全部把握される前提」でビジネスを設計する必要が出てくる可能性が高いと僕は見ています。だからこそ、今、グレーな前提でビジネスを設計しているセラーさんは、長く持たないと判断すべきだと思いますね。しっかり納税して、コンプライアンスを重視する企業こそが、これからの越境EC市場で生き残っていくんだ、と強く感じています。
「管理前提の時代」を生き抜く越境EC事業者の戦略
今回の中国の本格課税は、越境EC全体が「グレーに稼ぐ時代」から「管理前提の時代」へと大きく舵を切ったことを示唆していると僕は考えています。今後生き残っていくセラーは、税金込みで利益が出るビジネス設計ができているか、そして価格以外の価値、例えばブランド力や独自の商品、優れた顧客サービスといったものを提供できるか、が重要になってくるでしょう。中国で起きているこの動きは、数年後の世界の越境ECにおける「標準」になる可能性が非常に高いんですよ。だからこそ、今のうちからビジネスモデルを見直し、来るべき時代に備えることが、越境EC事業者に求められているんだと思います。
FAQ
Q.中国ECの本格課税とは具体的に何ですか?
Q.なぜ中国は今、課税を強化しているのですか?
Q.EC事業者はどのような影響を受けていますか?
Q.日本の越境ECセラーも影響を受けますか?
Q.今後、越境EC事業者はどう対応すべきですか?
Q.「グレー物流」とは何ですか?なぜ危険なのですか?
Q.中国の動きは他の国にも波及しますか?
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