越境ECを襲う物流コスト高騰の波。DHL値上げの背景と利益を守る5つの戦略
DHLの越境EC送料が3%値上げ。その背景にあるトランプ関税やインフレ、年末商戦の影響を解説。利益を守るための具体的な5つの対策を荒木淳平が語る。
CHAPTERS
- 00:00オープニングトーク
- 00:30値上げの背景と理由
- 02:15今回の値上げ、どれくらい影響するのか?
- 03:45他の配送会社も“追随”の可能性大
- 04:30越境ECセラーが今やるべき対策
- 06:00エンディング
越境ECビジネスを手がける僕ら JP.Company (Monoshare) にとって、物流コストの変動は常に大きな関心事です。先日、国際配送大手であるDHLが9月から送料を一律3%値上げすると発表しました。一見すると小さな数字に見えるかもしれませんが、越境ECセラー、特に利益率の低い商品を扱う事業者にとっては、この3%が事業の存続を左右する可能性も十分にあります。今回は、この値上げの背景にある事情と、僕らが今すぐ取り組むべき対策についてお話ししたいと思います。
越境ECに忍び寄る物流コストの波、DHLが3%値上げに踏み切った背景
今回のDHLの値上げは、決して単一の原因で起きているわけではありません。複数の要因が複雑に絡み合って、配送業者全体がコストアップに直面しているのが実情だと僕は見ています。
1. トランプ関税の影響で通関処理が複雑化
第一に挙げられるのが、いわゆる「トランプ関税」の影響です。これは、アメリカが特定の輸入品に対して追加関税を課す政策のことですね。これにより、特にアメリカ向けの貨物における通関処理が非常に複雑になりました。税金表示や申告作業が細かく追加され、DHL側もその業務量が増大し、結果として人件費などの運用コストが上昇しているんです。
僕らも実際に、アメリカ向けの書類作成には以前と比べてかなり手間が増えました。細かい規定が増えると、それだけ確認作業や入力作業に時間がかかります。これは配送業者さんも同じで、増えた業務に対応するために人員を増やしたり、システムを改修したりするコストがかかっているのは想像に難くないですよね。
2. 世界的なインフレと人件費の高騰
次に、世界的なインフレとそれに伴う人件費の上昇が挙げられます。ここ数年、世界中で物価が上がり続けているのは皆さんもご存知の通りだと思います。燃料費の高騰はもちろん、物流業界で働く人たちの賃金も上がっています。特に航空貨物を扱う現場では、専門的なスキルを持つ人材の確保が難しくなっていて、高い報酬を払ってでも確保しようとする動きがあります。
うちの会社でも、優秀な人材を確保するためには、それなりのコストをかける必要があると感じています。これはどの業界でも同じで、配送業者さんも例外ではありません。人件費は固定費の中でも大きな割合を占めるので、ここが上がると送料に転嫁せざるを得ないというのは、正直なところ理解できる部分ではありますね。
3. 年末商戦に向けた先行対応
そして、もう一つ見逃せないのが「年末の物流ピーク」に向けた先行対応という側面です。例年11月から12月にかけては、ブラックフライデーやサイバーマンデーといった eコマース需要が世界的にピークを迎えます。この時期は配送業者のキャパシティが限界に達し、遅延やトラブルが多発しがちです。
DHLは毎年1月〜2月頃に値上げを実施することが多いのですが、今回は少し早いタイミングでの発表になりました。これは、一気に大きな値上げをするよりも、段階を踏んで値上げすることで市場へのインパクトを和らげようという戦略的な動きではないかと僕は見ています。繁忙期前に価格調整を行うことで、来るべき物流集中に備えているということかもしれません。
EC・オンライン物販
たかが3%、されど3%。物流コスト上昇が利益を直撃する理由
「たった3%の値上げでしょ?」と思う方もいるかもしれません。しかし、越境EC、特に利益率がそこまで高くない商品を取り扱っているセラーにとっては、この3%が利益を大きく圧迫する可能性があります。
例えば、送料が30ドルの商品があったとします。3%の値上げで、送料は30.90ドルになります。たった90セントの差ですが、これが積み重なるとどうなるか。単価の低い商品であればあるほど、この90セントが利益を削り、最悪の場合、赤字転落につながるケースも出てくるんです。
僕らが扱う中古のブランド品などは、仕入れ値と販売価格の差で利益を出すビジネスモデルです。送料が上がれば、当然その利益が目減りします。特にアメリカ宛の荷物は、関税と送料の「ダブルパンチ」を受けることになり、「売れるけど儲からない」という非常に厳しい状況に追い込まれるセラーも少なくないんじゃないかと危惧しています。
リユース・二次流通
他の配送業者も追随か?業界全体の動向と見通し
DHLが値上げに踏み切ったということは、他の配送業者も同様の動きを見せる可能性が高いと僕は考えています。FedExやUPSといった国際配送大手はもちろん、日本郵便などの公的配送機関も、DHLと共通のコスト構造を抱えているからです。
特に、アメリカ向けの関税処理の増加という課題は、どの配送業者にとっても共通の負担です。僕の肌感覚では、早ければ10月〜11月にも、他の配送業者が値上げを検討しているという話も耳にします。つまり、今回のDHLの値上げは、越境EC業界全体の物流コスト上昇の「序章」と捉えるべきだと僕は思っています。常に最新の情報をキャッチアップし、備えをしておくことが重要ですね。
今すぐできる!越境ECセラーが取るべき5つの対策
では、僕ら越境ECセラーは、この状況に対して具体的にどういった対策を講じるべきでしょうか。いくつか僕が実践している、あるいは推奨している方法を挙げさせていただきます。
1. 送料込み表示への切り替えを検討する
まずは、商品価格に送料を含める「送料込み表示(Free Shipping)」への切り替えを検討することです。購入者から見れば、送料がいくら上がったか分かりにくくなるため、購入意欲の低下を抑える効果が期待できます。もちろん、その分商品価格を上げる必要はありますが、心理的なハードルを下げる意味では有効な手段だと思います。
2. 配送方法別の利益率を再計算する
次に、取り扱っている商品ごとに、配送方法別の利益率を改めて計算し直すことが重要です。DHLだけでなく、FedEx、UPS、EMS(国際スピード郵便)など、複数の配送方法を使っているセラーも多いと思います。今回の値上げによって、どの配送方法が最も効率的で利益が残るのか、正確に把握し直す必要があります。場合によっては、これまで使っていた配送方法から別のものに切り替える判断も必要になるでしょう。
3. 商品単価・数量を上げて利益率をカバーする
送料が上がるのであれば、一つあたりの商品単価を上げる、あるいはまとめて購入してもらうことで、送料が占める割合を相対的に下げるという対策も考えられます。例えば、関連商品をセットで販売したり、より高単価な商品にシフトしたりする戦略ですね。ただ、これは商品の種類やターゲット顧客によって難易度が変わるので、慎重な検討が必要です。
4. アメリカ依存度を下げる
これは僕が以前から強く提言していることですが、越境ECでアメリカ市場に過度に依存するのはリスクが高いです。今回の関税と送料のダブルパンチを見ても明らかですよね。シンガポール、オーストラリア、EU圏など、成長著しい他の市場にも目を向けるべきです。うちでも、最近はシンガポール市場に力を入れていて、非常に良い手応えを感じています。市場を分散させることで、特定のリスクを軽減することができます。
5. SpeedPAKなどeBay公式配送との比較もしておく
最後に、eBayで販売しているセラーであれば、SpeedPAKのようなeBay公式配送サービスとの比較検討も常に行っておくべきです。公式配送は、プラットフォームとの連携がスムーズで、コスト面でも競争力がある場合があります。僕らもDHL一本槍ではなく、商品や届け先、緊急度によって最適な配送方法を柔軟に組み合わせることで、コストを最適化するように心がけています。
まとめ
越境ECを取り巻く環境は常に変化しています。今回のDHLの値上げは、僕らセラーにとって新たな課題を突きつけるものですが、同時にビジネスモデルや戦略を見直す良い機会でもあります。変化を恐れず、常に最新の情報をキャッチアップし、柔軟に対応していくこと。それが、この厳しい時代を生き抜く越境ECセラーの必須条件だと僕は強く感じています。これからも、僕自身が現場で得た知見を共有していきますので、一緒に越境ECビジネスを盛り上げていきましょう。
FAQ
Q.DHLが越境ECの送料を値上げした主な理由は何ですか?
Q.3%の値上げは越境ECセラーにどのくらい影響しますか?
Q.DHL以外の配送業者も今後値上げする可能性はありますか?
Q.越境ECセラーが今すぐできる具体的な対策は何ですか?
Q.アメリカ市場への依存度を下げるメリットは何ですか?
Q.送料込み表示にすると、どのような効果が期待できますか?
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