越境ECを襲う物流コスト高騰の波──荒木淳平が語る「利益を守る5つの対策」
DHLの値上げに代表される越境EC物流コスト高騰の背景と、セラーが今すぐ取り組むべき具体的な対策を、JP.Company代表の荒木淳平が解説。利益を確保するための戦略とは。
CHAPTERS
- 00:00オープニングトーク
- 00:30値上げの背景と理由
- 02:00今回の値上げ、どれくらい影響するのか?
- 03:15他の配送会社も“追随”の可能性大
- 04:00越境ECセラーが今やるべき対策
- 06:30エンディング
2023年9月以降、DHLが送料を一律3%値上げすると発表しました。越境ECセラーや法人にとって、これは決して無視できない大きな動きだと僕は捉えています。特に、ここ数年で物流を取り巻く環境は激変しており、今回の値上げもその一環なんですよね。
正直なところ、この動きはDHLさんだけに留まらない可能性が高いと見ています。他の配送業者も同様のコスト構造を抱えている以上、追随する可能性は十分に考えられるでしょう。では、なぜ今、物流コストがこれほどまでに上昇しているのか、そして僕たちセラーは何をすべきなのか、詳しくお話ししていきたいと思います。
物流コスト高騰の背景にある「見えない負担」とは
今回のDHLの値上げには、いくつかの複雑な要因が絡んでいます。単なる燃料費高騰だけではない、構造的な問題が背景にあるんですよ。
1. トランプ関税の影響による通関処理の複雑化と人件費増
まず一つ目は、米国向けのトランプ関税(追加関税)の影響です。これにより、米国向けの税金表示や申告作業が格段に複雑化しました。以前はシンプルだったものが、今は細かな項目が増え、通関処理の業務量が大幅に増加しているんです。DHLさん側からすれば、これを処理するための人件費やシステム投資が増えるのは当然なんですよね。うちでも、米国向けの商品を扱う際には、以前より手間がかかるようになったと感じています。
2. 世界的なインフレと人件費上昇、特に航空貨物分野
二つ目は、世界的なインフレとそれに伴う人件費の上昇です。特に航空貨物を扱う現場では、専門的なスキルを持つ人材の確保が以前にも増して難しくなっていると聞きます。燃料費はもちろんですが、物流の現場を支える人々の賃金が上がらないことには、質の高いサービスを維持できません。これは、航空貨物業界全体が直面している課題だと言えるでしょう。
3. 年末商戦に向けた先行的な価格調整
そして三つ目は、毎年恒例の年末の物流ピークに備えた先行対応という側面もあります。例年11月から12月にかけては、eコマースの需要が爆発的に高まり、荷物が集中します。この時期に一気に値上げするよりも、事前に段階的に価格調整をしておく方が、利用者側の心理的なインパクトも小さいですし、配送サービスの安定供給を図る上での判断なんだろうなと僕は見ています。実際、毎年1月から2月にかけて値上げが行われることが多いので、早めの対応と言えるかもしれません。
EC・オンライン物販
3%の値上げが越境ECセラーの利益に与える具体的な影響
「たった3%の値上げでしょ?」と思う方もいるかもしれません。でも、この3%が越境ECセラーの利益に与える影響は、想像以上に大きいんですよ。
例えば、送料が30ドルの場合、3%増で30.90ドルになります。わずか90セントの差ですが、これが年間何百件、何千件となると、数十万円、数百万円単位で利益を圧迫することになります。特に単価の低い商品を扱っているセラーさんにとっては、この90セントがそのまま利益率に直結してしまうんです。うちでも、利益率の低い商品は特にシビアに影響が出てしまうので、この点は常に警戒していますね。
さらに、アメリカ宛ての場合、トランプ関税と今回の送料値上げが重なって、まさに「関税+送料」のダブルパンチなんです。商品が売れないわけじゃないのに、蓋を開けてみたら全然儲からない、という事態は避けたいところですよね。この状況下で、いかに利益を確保していくかが、今後の越境ECビジネスの鍵になってくると思います。
国際物流・貿易
DHL以外の配送業者も追随する可能性は高いのか
僕の経験上、DHLさんが動くと、FedExさんやUPSさん、そして日本郵便さんといった他の主要な配送業者さんも、多くの場合、追随する傾向があると思っています。彼らもDHLさんと同様に、燃料費の高騰、人件費の上昇、そして米国向けの関税処理増加といった共通のコスト構造を抱えているからです。
特にアメリカ向けの関税処理増加は、特定の配送業者だけの負担ではなく、国際輸送を手掛ける全社共通の負担なんですよ。早ければ10月から11月にも、他社が値上げを検討しているという声も耳にします。つまり、今回のDHLさんの値上げは、業界全体の物流コスト上昇の始まりと捉えるべきだと僕は考えています。
越境ECセラーが今すぐ取り組むべき5つの対策
では、このような状況で、僕たち越境ECセラーは何をすべきなのでしょうか。僕は以下の5つの対策を提案します。
【1】送料込み表示に切り替えるか検討する
これは心理的な側面も大きいんです。購入者にとっては、最後に送料が上乗せされるよりも、最初から総額で提示されている方が安心感がある、という声もよく聞きます。また、送料を商品価格に含めることで、値上げの影響を吸収しつつ、価格競争力を維持できる可能性があります。もちろん、商品単価や市場の特性を考慮して慎重に判断する必要はあります。
【2】配送方法別の利益率を再計算する
定期的に各配送会社の料金体系を細かく見直して、どの配送方法が最も効率的か、商品カテゴリーごとに検証し直す必要があります。例えば、特定の重量帯や地域によっては、別の配送業者がより安価なケースもあります。うちでも、この再計算は欠かさず行い、常に最適な配送パートナーを見極めるようにしています。
【3】商品単価・数量を上げて利益率をカバーする
送料の割合を相対的に小さくするためには、商品単価を上げるか、一度に購入される数量を増やす戦略が有効です。例えば、複数の商品をセット販売したり、より高単価な商品にシフトしたりするのも一つの手です。単価が上がれば、送料が占めるコストの割合も自然と小さくなりますからね。
【4】アメリカ依存を下げる(市場分散)
これは僕が常々言っていることなんですが、越境ECで成功しているセラーさんほど、実はアメリカ以外の市場もバランス良く開拓しているんですよ。ヨーロッパやアジア、オーストラリアなど、成長市場は他にもたくさんあります。特定の市場に依存しすぎると、今回のようなリスクに脆弱になります。市場を分散させることで、リスクヘッジにもなりますし、新たなビジネスチャンスも広がります。
【5】SpeedPAKなどeBay公式配送との比較もしておく
eBayが提供するSpeedPAK(スピードパック)のような公式配送サービスは、時に非常に競争力のある価格設定になっていることがあります。特に中国からの配送でよく使われますが、他の国・地域への配送でも選択肢になる場合があります。既存の配送業者だけでなく、こういった公式サービスや、提携している配送サービスも定期的に比較検討しておくべきですね。
まとめ
物流コストの上昇は、越境ECビジネスにおいて避けては通れない課題です。しかし、適切な対策を講じることで、その影響を最小限に抑え、むしろビジネスを強化するチャンスに変えることもできると僕は信じています。今回の値上げを機に、ぜひ皆さんのビジネスモデルや配送戦略を見直してみてください。常に変化に対応し、柔軟な姿勢でビジネスに取り組むことが、これからの時代を生き抜く上で非常に重要になってくるでしょう。
FAQ
Q.DHLが送料を値上げした主な理由はなんですか?
Q.3%の値上げは越境ECセラーにどのくらい影響しますか?
Q.DHL以外の配送業者も送料を値上げする可能性はありますか?
Q.越境ECセラーが今すぐできる対策は何ですか?
Q.なぜ「アメリカ依存を下げる」ことが対策になるのですか?
関連クエリ:
