トランプ関税が変えるアパレル業界の未来:H&MとZARAの苦悩、そして越境ECのチャンス
トランプ関税がH&MやZARAといったファストファッションに与える深刻な影響を解説。日本のアパレル企業が取るべき戦略と、越境EC・中古市場の可能性を、経営者・荒木淳平が語ります。
CHAPTERS
- 00:00H&MとZARA、トランプ関税で陰る業績
- 00:34最新のトランプ関税のおさらい
- 02:30H&MとZARAの戦略と結果
- 04:10アメリカ国内生産の難しさ
- 06:15中古市場と越境ECの可能性
- 07:30今後のアパレル業界の展望
- 09:00ファストファッションの概念の変化
最近、H&MやZARAといったファストファッション大手の業績が鈍化しているって聞くんですけど、これにはトランプ関税が大きく影響しているんですよ。トランプさんが嫌いそうな国で作られたアパレル製品に、高い税金がかけられている。これが、彼らのビジネスモデルを揺るがしているんです。
トランプ関税はアパレル業界にどのような影響を与えているのか?
現状、トランプ関税は中国、ベトナム、バングラデシュといった国々からの輸入品に重くのしかかっています。例えば、ベトナムやバングラデシュからの輸入品には相互関税として通常関税に加えて20%が上乗せされる可能性が高いとされています。中国に至っては、今はまだ交渉中ですが、50%近い関税がかかるケースもあると聞きますね。
こういう高関税が課されると、企業としては大変な話です。結局、その関税分はお客さんの購入価格に跳ね返ってきますから、商品がどうしても高くなってしまうんですよね。H&MやZARAの魅力って、値段の割にデザイン性が高いことじゃないですか。それが高くなってしまったら、あえて買う理由が薄れてしまう。値段で勝負しているブランドにとって、関税の引き上げは本当に厳しい戦いになると思います。
実際に、H&MとZARAでは対応が分かれました。H&Mは価格を据え置くことで市場シェアの維持を狙ったんですが、当然、利益率が大きく圧迫されました。自分たちが関税分を負担する形になったので、収益が伸び悩んだんです。一方、ZARAは平均して28%もの値上げに踏み切りました。これはかなり大きいですよね。3,000円だった服が4,000円になる計算ですから、ブランドの価値観も変わってきてしまう。ZARAは利益率を守ったものの、売上成長は鈍化してしまいました。どちらの戦略を取っても、アメリカ以外の国での生産に依存していたことが、今回の関税で大きな打撃を受けてしまったわけです。
経営・チーム
なぜアパレル生産をアメリカ国内に戻すのは難しいのか?
この状況を受けて、「じゃあアメリカ国内で生産すればいいじゃないか」という意見も出てくると思うんですけど、それが現実的ではないんですよね。アパレル製品、特に縫製工程って人件費が高い場所では作れないんですよ。アメリカだと、最低時給が日本円で2,000円後半になる州もある。これでは、到底やっていられません。
物流コストも考えると、さらに難しい。アメリカのどっかの州で作ったとしても、それを全米に輸送するコストが、下手したら飛行機代の方が安くなるくらい今、アメリカはインフレを起こしています。特に人件費の高騰が商品価格に直結してしまうんです。トランプさんは関税を上げることで国内に工場を戻そうとしているみたいですけど、そのためのノウハウやインフラがもう国内にはないのが実情じゃないかと思います。
EC・オンライン物販
ファストファッションの未来と越境EC、中古市場の可能性
これまで多くのアパレル企業が「中国プラスワン戦略」を取ってきました。中国だけでなく、バングラデシュ、タイ、ベトナム、インドネシアなど、リスクヘッジのために複数の国で生産する戦略ですね。でもトランプさんは、中国以外の東南アジアの国々への関税も上げてきましたから、タグの付け替えなどで安くする抜け道もなくなってしまったんです。こうなってくると、どこで生産しても厳しい、という状況になってきますよね。
一番困るのは、結局アメリカ国民だと思うんですよ。安く洋服が買えないわけですから。高品質で高価な服ばかりになるのも違う気がします。そう考えると、eBayのような越境ECで中古品を買うという選択肢は、今後もっとチャンスになるんじゃないかな、と僕は思っています。新品が高くなるなら、中古品は相対的に魅力的になりますからね。
ただ、越境ECで中古品を扱う際には注意点もあります。「リバリュエーション」ってご存知ですか?これは、中古品だから安く輸出したはずなのに、アメリカの通関で「この商品はそんなに安いはずがない」と判断され、勝手に値段を付け直されてしまうことなんです。その結果、関税も高くなってしまう。腑に落ちない部分も多いんですけど、従うしかないのが現状ですね。
もちろん、アパレル系の中古品はサイズの問題があったり、単価が安くて「デミニミス」(少額免税制度)に引っかかって送料負けしちゃったりと、なかなか難しい戦いにはなるんですけど、新しい可能性を秘めているのは間違いないと思います。
アパレル業界は今後どう変化していくのか?
アメリカ市場は非常に大きいので、どんなアパレル企業もその動向は意識せざるを得ません。ユニクロのように多様な国に工場を持ち、関税率が有利な国で多く生産したり、アメリカ国内にも工場を持つことでリスクヘッジができているブランドもあります。しかし、H&MやZARAはそうした対策が十分でなかった。今後は、関税率が安い国、つまりアメリカと関係性の良い国での生産にシフトしていくんじゃないかと思います。
結局は、コストパフォーマンスの問題です。関税率が安くても人件費が高ければ意味がない。質やスピード、出来栄えも加味しながら、どの国で生産するのがベストなのかを慎重に判断していくことになるでしょう。高級アパレルとファストファッションでは戦略が全く違うので、ブランドごとに多様なアプローチが出てくると思います。
ただ、日本のアパレル会社って、そもそも海外に弱いと感じています。基本的には日本人向けに売っている印象が強い。もっと海外市場を意識して、悩んでほしいくらいですね。全体的に、アパレル製品は値上げしていくでしょうし、「ファストファッション」という言葉自体がなくなっていく可能性すらあるんじゃないでしょうか。その結果、ある程度のブランドが残り、中古品や古着がこれまで以上にうまく利用される流れになっていく気がします。
今後は、アパレル業界の多様性がさらに広がるでしょう。例えば「黒い洋服専門」や「ゴスロリ系」など、よりニッチで専門的なブランドが、少し高めの価格帯で展開されていく。そして、そうした商品の流通において、中古品市場が果たす役割はこれまで以上に大きくなる。そんな世界観になっていくんじゃないかな、と僕は考えています。
FAQ
Q.H&MとZARAの業績鈍化の主な原因は何ですか?
Q.トランプ関税は具体的にどの国からの輸入品に影響しますか?
Q.ファストファッションブランドは関税高騰にどう対応しましたか?
Q.なぜアメリカ国内でのアパレル生産は難しいのですか?
Q.トランプ関税は中古品市場にどのような影響を与えますか?
Q.「リバリュエーション」とは何ですか?
Q.日本のファッションブランドが海外で成功するために必要なことは?
Q.今後のアパレル業界はどのように変化すると考えられますか?
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