米国新関税12.5%案、越境EC事業者が今すぐ備えるべき「証明責任」という壁
米国が日本に提案する12.5%の追加関税案。これは越境EC事業にどう影響するのか。代表の荒木淳平が「証明責任」という見落としがちなリスクと対策を解説します。
CHAPTERS
- 00:00オープニングトーク
- 00:00現状と仕組み:12.5%関税は「決定」ではない?
- 00:00恐怖のルール:米国特有の「証明責任」と法的な壁
- 00:00エンディング
現在、米国通商代表部(USTR)が日本に対して提案している「12.5%の追加関税案」は、越境ECビジネスを展開する僕らにとって決して他人事ではありません。まだ確定ではないとはいえ、この提案の背景にある米国の厳しいスタンスと、「証明責任」という独特のルールを理解し、今から備えておくことが非常に重要だと感じています。
米国が日本に12.5%の追加関税を「提案」している背景とは?
まず、一番大事なこととして、この12.5%の関税は現時点では「決定」ではなく、米通商代表部が進めている「提案段階」だということを冷静に受け止める必要があります。正直なところ、まだ確定ではないからと安堵している人もいるかもしれませんが、僕らは常に最悪のシナリオを想定して動くべきだと思っています。
では、なぜ日本がこの追加関税の対象として名指しされているのか。背景には、中国の新疆ウイグル自治区などでの強制労働問題があります。アメリカ側から見ると、日本は「強制労働で作られた部品や素材の流入を十分に防げていない国」とみなされ、追加関税のグループに入れられてしまったというのが実情のようです。うちの会社でも、サプライヤー選定にはかなり神経を使っていますが、特に海外と取引する場合、現地の労働環境や製造プロセスを完全に把握するのは本当に難しいと感じています。でも、アメリカから見ればそれが不十分だと判断されてしまうわけですね。
この追加関税がもし実施されたとしても、単純に今の関税に「+12.5%」が上乗せされるわけではありません。関税の実効税率は「上限15%」に抑えられる見込みだとされています。つまり、今まで関税0%だった商品は12.5%に、すでに数%かかっている商品も、合計で最大15%程度に調整される可能性が高いと言われています。もちろん、コスト増は避けられないでしょうから、僕ら越境EC事業者にとってはビジネスモデルの見直しが必要になるのは確実です。
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「決定」ではないのに、なぜ越境EC事業者は警戒すべきなのか?
「まだ提案段階なら、そこまで気にしなくてもいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、僕はこの提案を非常に重く見ています。その理由は、今回の提案の根拠である「通商法301条」という法律の特性と、米国税関の独特なスタンスにあるんです。
通商法301条は、一度実施されてしまうと、大統領が変わってもそう簡単には覆らないという、法的な安定性が非常に高い措置なんですよ。つまり、一度決まると長期にわたって影響が続く可能性が高いということです。
そして、もう一つ、関税のパーセンテージ以上に僕らが恐れるべき壁が、米国特有の「証明責任」というルールです。日本の法律は「疑わしきは罰せず」が基本ですが、アメリカの税関は真逆。「少しでも怪しいならまず輸入をストップし、問題がないことを『企業側』に証明させる」という、めちゃくちゃ厳格なスタンスなんです。これは本当に厄介なんですよ。
僕の周りの越境EC事業者でも、過去に日本企業の商品が「材料の出所が証明できない」という理由で税関で差し止められた事例をいくつか聞いています。数週間、場合によっては数ヶ月間、商品が倉庫に眠ってしまうなんてことになったら、キャッシュフローへの影響は甚大です。特に、強制労働問題が背景にある今回の件では、原材料の原産地や製造工程の透明性がこれまで以上に厳しく問われることになるでしょう。この「疑わしきはまず止める」というスタンスと、「問題がないことを証明する責任が輸入者側にある」というルールこそが、関税率以上に大きなリスクだと僕は考えています。
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今から越境EC事業者ができる具体的な対策
では、僕たち越境EC事業者はこの状況に対して、具体的にどう備えれば良いのでしょうか。いくつか対策を考えておくべきだと思います。
一つは、サプライチェーンの透明性を徹底的に高めることです。どこから材料を仕入れ、どこで製造されたのかを明確に説明できる体制を整える必要があります。これは一朝一夕にはできないので、今からでも取引先との連携を強化し、原産地証明や製造工程に関する書類をしっかり準備しておくべきだと思います。特に、米国の税関が求めるレベルの証明責任を果たすためには、かなり詳細な情報が必要になるでしょう。
次に、コスト構造の見直しと価格戦略の再検討です。関税が上がった場合、販売価格に転嫁するのか、それとも利益を圧縮するのか、事前にシミュレーションしておくことが重要です。場合によっては、仕入れ先を見直したり、商品の付加価値を高めて価格競争力を維持したりといった戦略も必要になるかもしれません。
さらに、市場リスクの分散も考えておくべきです。一つの市場に依存するリスクを改めて認識し、米国市場が厳しい状況になったとしても、他の市場でビジネスを継続できるよう、販路の多角化も常に意識しておくべきですね。例えば、欧州やアジアなど、成長が見込める他の市場への展開も視野に入れるべきだと思います。
最後に、最新情報の継続的な収集です。今回の関税案はまだ提案段階であり、今後も状況は変化していく可能性があります。米国通商代表部(USTR)や関係省庁からの発表、業界ニュースなど、常に最新情報をキャッチアップし、迅速に対応できる体制を整えておくことが、変化の激しい越境ECの世界では非常に重要だと僕は思っています。
今回の米国新関税案は、僕ら越境EC事業者にとって決して楽観視できるものではありません。しかし、リスクを早期に認識し、具体的な対策を講じることで、ビジネスへの影響を最小限に抑えることは可能です。常に変化に対応できる柔軟な経営姿勢が求められていると、僕自身も改めて襟を正す思いでいます。
FAQ
Q.米国が日本に提案している12.5%の追加関税とは何ですか?
Q.この関税案は確定したのですか?
Q.実効税率が12.5%になると、関税は単純に12.5%上乗せされるのでしょうか?
Q.「証明責任」とは何ですか?
Q.なぜ「証明責任」が越境EC事業者にとって大きな壁となるのですか?
Q.越境EC事業者が今からできる対策は何ですか?
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