越境ECの「幻の利益」と「アメリカリスク」:デミニミス廃止が変えた世界線と今後の戦略
もしデミニミス廃止やトランプ関税がなかったら、越境ECの世界はどう変わっていたのか?JP.Company代表の荒木淳平が語る「幻の利益」と、アメリカ一極集中から脱却するリスクヘッジ戦略について解説します。
CHAPTERS
- 00:00デミニミス廃止なしなら億万長者だった?
- 00:26デミニミス廃止は円安と金の高騰に関係あるのか?
- 01:38もし規制がなかったら今どうなっていたか?
- 06:17もし規制が緩んでデミニミスが復活したら?
- 09:37この一年でeBayを始めた人は強いのか?
もし、あの時「デミニミス廃止」や「トランプ関税」が発動していなかったら、今とは全く違った世界線があったんじゃないかなって、僕はずっと思っているんですよね。
もちろん日本だけじゃなくて、世界全体が全然違う方向に向かっていたかもしれない。特に越境ECの世界は、大きく変わったと実感しています。僕らのビジネスも、今までと同じやり方では通用しなくなりましたからね。
もし「デミニミス廃止」や「トランプ関税」がなかったらどうなっていたのか?
まず、一番大きく変わったのは人々の「心理」じゃないかと思うんです。特にアメリカに対する見方が変わりました。以前は良くも悪くも、アメリカ中心の世界であることは当たり前だった。でも、今は「アメリカ中心ですよね…はい、ごめんなさい」みたいな、どこか複雑な心持ちになっている気がします。
この心理の変化は、為替や金(ゴールド)の価格に直結しているんですよ。たくさんあるお金をどこで持つか、という話ですよね。現金、不動産、株、そして金や銀といった「物」を持つ選択肢の中で、アメリカの信用不安からドルではなく安全資産とされる金に流れた結果、金価格がバブルのように高騰したんじゃないかと見ています。
現実的なところでは、Temu(テム)やSHEIN(シーイン)といった中国系の格安ECプラットフォームは、もっと自由に暴走していたかもしれません。彼らの価格設定やビジネスモデルが、あまりにも「えぐい」と判断され、政治的なコントロール、つまり関税をかけようという動きにつながった側面もあると思うんです。デミニミス廃止も、彼らの影響が大きいと言えるかもしれませんね。
僕らの主戦場であるeBay(イーベイ)のようなプラットフォームも直撃を受けました。今までやれていたことができなくなったり、やり方そのものを変えざるを得なくなったり。もし規制がなかったら、eBayももっと大きく伸びていた可能性はありますね。
DDP(Delivered Duty Paid:関税込み渡し)発送が必須になったことも大きいです。これは、セラー(販売者)が関税や輸入消費税を負担して、購入者に商品を届ける方式のことです。これによって、アメリカの消費者が否が応でも「関税」というものを意識するようになりました。必要以上に購買意欲が下がったり、トランプ関税の影響でインフレが加速したりと、経済全体にも影響が出たと思います。元々人件費の高騰によるインフレはありましたが、ここに物の値段やエネルギー価格の高騰が加わった感じですね。
日本や世界の政治関係も、今とは全然違っていたかもしれません。特に中国との関係は、もっとおとなしかったんじゃないかな。アメリカの存在があるからこそ、中国も躍起になっている部分があると感じますし、それが日本の政治家や世論にも影響を与えているんじゃないかと僕は見ています。本当に「もしも」を考えると、キリがないですが、良くない方向には進んだな、というのが正直な感想ですね。
EC・オンライン物販
デミニミス復活はあり得るのか?越境ECセラーの取るべき戦略とは?
もし規制が緩んでデミニミスが復活したとしたら、という話はよく聞かれるんですけど、正直なところ、戻ることはないんじゃないかと僕は思っています。ただ、仮にデミニミスが戻ったとしても、僕らのビジネススタイルは以前のようにはならないでしょうね。
今回の件で、僕が強く感じたのは「アメリカリスク」です。以前は「アメリカは強くて売れるから、とりあえずアメリカで売ればいい」と考えていました。でも、一国に頼ることの怖さを痛感したんですよ。国際ビジネスでは、どこで何が起こるか分からないカントリーリスクが常に存在しますから、いくら強い市場があったとしても、そこに集中しすぎるのはビジネス観点から見ても危険だと判断しました。
だから、もしデミニミスが戻ったとしても、アメリカ中心ではあるとは思います。ただ、以前のような比率でアメリカに集中するのではなく、アメリカ以外の国も頑張ろう、という意識に変わりました。効率は一時的に落ちるかもしれませんが、これからは「分散投資」をする時代なんだと。一つの国がダメになっても、他の国でカバーできるように、日本国内も含めてリスクヘッジをしておくべきだと強く思っています。
「一寸先は闇」じゃないですけど、本当に何が起こるかなんて誰も読めないですよね。今回の経験は、僕にとって大きな学びになりました。だから、たとえトランプ関税がなくなったとしても、以前の「アメリカ一極集中」にはもう戻れない。僕だけでなく、多くの越境ECセラーが同じように感じているんじゃないかなと思います。
国際物流・貿易
今、越境ECを始めるセラーは強いのか?
この去年から今くらいの時期に越境ECを始めた人たちは、本当に強いと思いますよ。最初から逆境の中でスタートしているわけですから、そういう人たちはきっと残っていくんじゃないかな。ここから上がっていくしかない、という状況ですからね。
ただ、僕らの会社が事業を始めた頃、1ドル78円という超円高の時期と比較すると、実は今の方がやりやすい側面もあると正直感じています。昔は、78円で売っても全然儲からなかったんですよ。利益が半分くらいになってしまうこともありましたからね。それに、今ほど日本から買おうという海外のお客さんも少なかった。僕らが長年、日本の商品の品質や信頼性を積み重ねてきた結果、今のアメリカ人のお客さんが安心して買ってくれるようになったんです。
もちろん、ここ数年と比べるとやりづらくなったのは確かです。特に安い商品は、EMS(国際スピード郵便)が使えなくなったり、DDP必須化で手数料がかかったりして、割を食う形になりました。だから、高額商品を扱うセラーが増えている傾向にありますね。そこでうまくやれている人は、今後も残っていくと思います。
円安傾向が続いていた時期は、プレイヤーがどんどん増えてレッドオーシャン化していました。でも、この逆境のタイミングで辞めていった人も多いと聞いています。ポジティブに考えれば、ジャンルによっては競争相手が減ったとも言えるわけです。だから、「やれる」と思う人はやり続けた方がいい。ただ、無理だと感じるなら、無理してアメリカに固執する必要はないと僕は思います。他にも売る方法はありますし、売る国はたくさんありますからね。eBayにこだわる必要も全くありません。
デミニミス廃止とDDP化からまだ数ヶ月しか経っていません。あと1、2ヶ月経てば、また市場の状況や消費者の感じ方も変わってくるでしょう。だからこそ、めげずに試行錯誤を続けていくことが大切です。そして、アメリカリスクも念頭に置きながら、色々な国で売るというリスクヘッジを心がけて、お互い頑張っていきましょう。
FAQ
Q.デミニミス廃止とは何ですか?
Q.トランプ関税は越境ECにどのような影響を与えましたか?
Q.デミニミス廃止は為替や金価格に影響しましたか?
Q.TemuやSHEINとデミニミス廃止の関係はありますか?
Q.DDP発送とは何ですか?なぜ越境ECで重要視されていますか?
Q.今後の越境ECでセラーが取るべき戦略は何ですか?
Q.今から越境ECを始めるのは不利ですか?
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