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2026.03.12越境ECeBay貿易協定

【荒木淳平の視点】トランプ政権とアルゼンチンの貿易協定が越境ECにもたらす影響と日本が取るべき戦略

トランプ政権がアルゼンチンと締結した相互貿易投資協定の背景と、それが越境ECに与える中長期的な影響を解説。激化する経済戦争の中で、日本企業が取るべきリスク分散戦略をJP.Company代表の荒木淳平が語ります。

トランプ政権がアルゼンチンと相互貿易投資協定を結んだというニュースは、僕にとってかなり衝撃的だったんですよ。これまでトランプ大統領というと「関税を上げる」というイメージが強かっただけに、「関税をなくす」という動きは意外に感じる方も多いんじゃないでしょうか。この動きの背景には、アメリカのしたたかな戦略が見え隠れしていると僕は見ています。

トランプ政権がアルゼンチンと「相互貿易投資協定」を結んだ背景とは?

今回の協定は、アメリカ通商代表部 (USTR) が2月5日にアルゼンチンとの間で署名した「相互貿易投資協定」のことですね。具体的な内容を見ていくと、アメリカは1,000品目以上のアルゼンチン製品に対する相互関税を撤廃し、その他の製品に対しても関税を最大10%に設定するというもの。一方でアルゼンチン側は、200品目以上のアメリカ工業製品の関税を撤廃する、という合意になっています。

これだけ聞くと、アメリカが譲歩したように見えるかもしれません。でも、僕がこの協定を見て感じるのは、「アメリカがバッティングする産業が少ない相手とは、積極的に手を組む」という戦略なんですよ。例えばアルゼンチンは肉や農業製品が強みで、アメリカは工業製品を輸出したい。お互いに競合しにくい分野でメリットを享受できるからこそ、スムーズに話が進んだんじゃないかと思います。

事実、トランプ政権は昨年11月には中南米の4カ国と相互貿易協定の枠組みに合意していますし、エルサルバドルやグアテマラとは今年1月末に協定を署名済みです。コーヒーやオレンジジュースなど、アメリカが必要とするものが多い国とは、関税撤廃も含めて積極的に動いているんですよね。日本のように自動車産業が強く、アメリカと競合する国とは、なかなかこういう自由貿易協定にはならないでしょう。アメリカはあくまで自分に有利な条件でしか動かない、というのが実情だと僕は見ています。

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越境EC事業者が知るべき、米・アルゼンチン協定がもたらす影響

じゃあ、この協定が僕らがやっている越境EC、特にeBayビジネスに直接どう影響するのかというと、正直、すぐに大きな変化があるわけではないと思うんです。ただ、中長期的な視点で見ると、いくつかの懸念点や注意すべき点があるんじゃないかと考えています。

もし今後、アメリカがさらに多くの国と自由貿易協定を結んでいけば、関税がゼロの国と日本のセラーが同じ商品を売る、という状況が生まれてくる可能性がありますよね。例えば、同じブランド品を日本からと、関税ゼロでアメリカに輸出できる中南米の国から売る場合、当然ながら関税ゼロの方が価格競争力は高くなります。

僕ら日本人のセラーとしては、日本でしか手に入らないもの、あるいは日本が圧倒的に強い商品を扱うことで、この手の競争を避けることができるでしょう。ただ、普遍的な商品や、他国でも手に入るようなものを扱う場合は、関税の有無がビジネスに直結してくる。日本政府も、僕らのような中小企業が海外で戦いやすいように、もっと積極的に自由貿易協定を進めてほしいと願うばかりです。

今回の協定では、経済安全保障に関する内容も盛り込まれています。アルゼンチンが国家安全保障上のリスクを審査するための対内投資審査メカニズムの設立を検討することが規定されたり、2026年7月に見直しが控えるアメリカ・メキシコ・カナダ協定 (AMCA) のメキシコに対する提案の一部なのではないかとも言われています。これは、アメリカが自国の利益を最優先し、貿易だけでなく投資や安全保障の面でも、自国に都合の良いルールを世界に広げようとしている表れだと感じますね。

経営・チーム経営・チーム

激化する「経済戦争」と世界経済の派閥化

今、世界はまさに「経済戦争」の時代に突入していると僕は見ています。今回の米・アルゼンチン協定も、その一端に過ぎません。世界経済は大きく分けて、アメリカ、中国、そしてヨーロッパの三つの勢力に分かれつつあるんじゃないでしょうか。

それぞれの勢力が、自国の影響力を拡大するために、中南米や東南アジア、オセアニアといった地域と積極的に手を組んでいます。まるで小学校のクラスで「どこのグループに入る?」と派閥ができていくような感覚に近いですよね。中立でいたい、どのグループとも同じ条件で取引したいというのが理想ですが、現実はなかなかそうはいかない。どこかのグループに所属するか、あるいは全てのグループとバランス良く付き合うか、という選択を迫られているように感じます。

特にトランプ政権の場合、長期的な視点でのアメリカの国益よりも、自分が大統領を務める期間にどれだけ成果を出せるかを重視しているように見えます。短期的な利益を追求するあまり、将来的に他国からの反発を招き、アメリカが孤立するリスクもはらんでいるんじゃないかと僕は懸念しています。

日本はどこに活路を見出すべきか? 経営者が取るべき戦略

このような国際情勢の中で、僕たち日本はどのような立ち振る舞いをすべきなのでしょうか。正直、非常に難しい舵取りを迫られていると感じています。アメリカと中国の間でバランスを取りつつ、自国の利益を最大化する戦略が求められます。

僕が個人的に期待しているのは、環太平洋パートナーシップ協定 (TPP) のような枠組みを強化していくこと。そして、ヨーロッパ諸国やマレーシア、インドネシアといった東南アジア諸国との連携を深めていくことだと考えています。ヨーロッパにはドイツやイタリアなど、日本と歴史的に良好な関係を築いてきた国も多いですし、距離的にも南米よりは近い。中国との関係が難しい現状を考えると、こうした地域との協力関係は非常に重要になってくるでしょう。

経営者として、僕が常に意識しているのは「最悪を想定し、どうなってもいいように準備しておく」ということです。特定の国や市場に依存しすぎると、今回の米・アルゼンチン協定のように、予期せぬ国際情勢の変化で大きな打撃を受ける可能性があります。だからこそ、どこの国でも、どんな状況でも売れるような販売網を複数構築しておくことが重要だと考えています。

例えば、eBayだけでなく、他のプラットフォームや独自の販売チャネルを並行して育てていく。ターゲット市場も、アメリカ一辺倒ではなく、ヨーロッパ、アジア、オセアニアなど、分散させておく。これが、変化の激しい現代において、僕らが生き残っていくための最も現実的な戦略だと僕は思っています。

経済の荒波はこれからも次々とやってくるでしょう。その中で、僕らは常にアンテナを張り、柔軟に対応していく必要があります。

FAQ

Q.アメリカとアルゼンチンの「相互貿易投資協定」とは何ですか?
アメリカがアルゼンチン製品1,000品目以上の関税を撤廃し、アルゼンチンがアメリカ工業製品200品目以上の関税を撤廃する協定です。両国が競合しにくい分野で相互にメリットを享受することを目指しています。
Q.この協定が越境ECに与える直接的な影響はありますか?
短期的には大きな影響はないと見られます。しかし、将来的には関税ゼロの国と日本セラーが同じ商品を販売する場合、関税の有無が価格競争力に直結する可能性があります。
Q.なぜアメリカはアルゼンチンと関税撤廃協定を結んだのですか?
アルゼンチンの主要輸出品である肉や農業製品と、アメリカの工業製品が競合しにくいためです。アメリカは自国に有利な条件で、中南米諸国との連携を強化していると見られます。
Q.トランプ政権の貿易政策はこれまでと変わったのでしょうか?
「関税を上げる」というイメージが強いですが、自国にメリットがある場合は「関税をなくす」選択もします。これは、アメリカの国益を最優先する戦略の一環だと考えられます。
Q.世界経済は今後どのように変化していくと予想されますか?
アメリカ、中国、ヨーロッパの3大勢力に分かれ、それぞれが影響力拡大のため他の地域と連携を深める「経済戦争」のような派閥化が進むと予想されます。
Q.日本の越境EC事業者は、この国際情勢にどう対応すべきですか?
特定の国や市場に依存せず、多様な販売チャネルやターゲット市場を構築し、リスクを分散することが重要です。TPPやヨーロッパ、東南アジアとの連携強化も有効な戦略です。

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